公共施設マネジメントシステムとは?導入のメリットや主な機能などについて解説
「ツールやシステムを用いて公共施設マネジメントの業務を進めることはできる?」
「どのようなツールやシステムがあるのか知りたい」
地方公共団体の担当者の中には、公共施設マネジメントに関する取組を進めるにあたって、このような疑問をお持ちの方もいると思います。
本記事では、公共施設マネジメントを推進する上でシステムを導入するメリットや具体的な機能などについて解説します。
また、公共施設マネジメントの支援に特化したシステムやツールを提供する企業やそのシステムの特徴についても合わせて解説しています。
公共施設マネジメントについて、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
1 公共施設マネジメントシステムとは

公共施設マネジメントシステムとは、公共施設マネジメントに関する施策の遂行を支援するシステムです。
公共施設マネジメントは基本方針と総合管理計画の策定、それに基づく具体的な個別実施計画の立案・実行、施策の評価という一貫した流れに沿って進める必要があります。
しかし、それぞれのフェーズで要求される情報の収集・分析は時間と手間がかかるほか、専門的な知識や技能も必要となります。
また、個別の実施計画を遅滞なく進めていくためには、進捗の管理などの体制構築や業務サイクルの確立が必要不可欠です。
そして、このような一連の流れをスムーズに推進する前提として、庁舎内で必要な情報やデータを一元的に管理・把握しておく必要があります。
公共施設マネジメントシステムは、主に情報の集積・管理を担うツール・システムであるため、これを庁舎内に導入することで業務をスムーズに進めていくことにつながるのです。
2 公共施設マネジメントシステムを導入するメリット

公共施設マネジメントシステムを導入することで、関連する業務の効率化を図ることが可能です。
- 施設情報を一元化して把握することができる
- コスト・利用状況についての財務データを簡潔に入手できる
順にご説明します。
(1)施設情報を一元化して把握することができる
地方公共団体が保有・管理する公共施設には、多種多様なものが含まれています。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 庁舎
- 公民館
- 図書館
- 学校・教育施設
- 公立病院
- 福祉施設(子育て支援、高齢者サービスなど) など
公共施設マネジメントでは、これらすべての公共施設の維持・更新などを検討することになるため、すべての施設に関する情報を管理・把握することが大切です。
しかし、これらの施設は担当部門や担当課が異なる場合には、別々に情報が管理されているため情報が分散され、庁舎内で統一的に把握することができないことがあります。
システムを導入することで、これらの施設情報が一元的に管理されることになり、具体的な方針や計画を決定する際の基礎となる情報収集・分析が容易になります。
(2)コスト・利用状況についての財務データを簡潔に入手できる
コストや利用状況についても公共施設ごとにデータを登録・閲覧することができます。
修繕や建替えなどの具体的な計画を実行するためには、その施設の運営にどの程度のコストがかかっているのかだけでなく、住民の利用実態を把握することが必要不可欠です。
システムを導入することで、担当部門や担当課をまたいだ施設情報を一元管理、共有することができ、施設ごとの細かな情報についても手軽にアクセスすることができます。
庁舎内での連携や協力体制を構築しやすくなり、公共施設マネジメント全体の業務を短縮化することにつながります。
3 公共施設マネジメントシステムの主な機能

公共施設マネジメントを支援するシステムには、様々なものがあり、システムやツールによって、実装されている機能には違いが見られますが、以下のような機能については、標準実装されていることが一般的です。
- 施設情報の管理機能
- 財務情報の管理機能
- 施設の現状調査・分析機能
- 費用シミュレーション機能
- 個別実施計画の進捗管理機能
それぞれについて解説します。
(1)施設情報の管理機能
地方公共団体が管理する公共施設の情報を登録・管理することができる機能です。
具体的には、以下のような情報を管理することができます。
- 施設名
- 所在地
- 設置年度
- 延床面積
- 敷地面積
- 所管部署 など
これらの情報は、施設ごとに登録・管理することができるほか、建物単位や部屋ごとに情報を分類・管理することも可能です。
また、ツールによっては登録情報の項目をカスタマイズすることができる場合もあります。
必要に応じて管理項目を追加したり、基本方針や計画の策定に必要となる項目のみで管理を行ったり、業務の目的や地方公共団体ごとに調整することも可能です。
(2)財務情報の管理機能
施設の財務情報についても登録・管理を行うことができます。
具体的には、以下のような情報です。
- 施設の運営費(光熱費、水道費など)
- 施設評価額の推移
- コスト試算 など
施設情報だけでなく、施設ごとのコストや評価額の推移などの財務に関するデータも同時に管理することができるため、横断的に分析・検討することが可能です。
このような機能は、どの施設について建替えや修繕を優先的に行う必要性があるかの判断や具体的な施策決定の際に参考とすることができます。
また、今後もサービスを提供する必要性があるかどうかを客観的に分析・把握するためにも有益であるといえるでしょう。
(3)施設の現状調査・分析機能
公共施設マネジメントシステムでは、施設の劣化状況などについても把握できることが一般的です。
特に高度経済成長期の人口増加を背景に建設が進められた施設については、すでに築年数が50年を超えるものもあります。
そのような施設は十分な耐震性能を備えていない場合も考えられ、耐震性や防災設備の有無などについても詳細な情報を把握することが可能です。
また、壁や内装などの部位別に劣化の状況を把握できるツールもあります。
これらの情報は、今後の施設維持管理の方針を検討・策定する場合に参考とすることが可能です。
(4)費用シミュレーション機能
コスト試算などから費用シミュレーションを行うことができる機能もあります。
具体的なツールによって機能面には違いがありますが、施設や用途などの項目ごとに修繕コストの変遷や今後の見通しなどについてグラフ化された情報を閲覧することができます。
また、これまでの修繕や建替えのデータから、コストの平準化シミュレーションも行うことが可能です。
これによって、修繕などのコストの削減効果などについても試算することができ、財務という観点から公共施設マネジメントを推進する際に有益な機能といえます。
シミュレーションデータは棒グラフや円グラフなどで閲覧することができるため、全庁舎内での情報共有や住民への説明会の資料に活用することもできます。
このように、活用の方法によっては資料作成などの事務作業の手間を省くことも可能です。
(5)個別実施計画の進捗管理機能
施設ごとに過去に行った計画の実施要項と現在進行中の計画についても管理・閲覧することもできます。
どの施設について計画が進行しているのかはもちろん、その計画の進捗状況を把握することもできます。
策定した方針や計画に対して、全体の実行度合いや進捗を把握することができ、中長期的な観点から計画の実効性を確保することにもつながります。
4.公共施設マネジメントシステムを提供している企業

公共施設マネジメントの遂行を支援するツールを導入することで、具体的な施策の立案・実行に関する業務を効率化することができます。
また、施設運営に関する財務情報の登録・管理を行うこともできるため、予算管理などの財務面からも公共施設マネジメント計画を検討することが可能です。
そのため、公共施設マネジメントに着手する場合には、システムやツールを導入することも検討しましょう。
なお、公共施設マネジメントを支援するシステム・ツールを提供している企業には、以下のようなものが挙げられます。
- 株式会社行政システム研究所
- 株式会社パスコ
- 一般財団法人建築保全センター
- 株式会社ジオコミュニケーションシステムズ
それぞれの企業が提供するシステム・ツールの特徴や機能についてご説明します。
(1)株式会社行政システム研究所
株式会社行政システム研究所は、自治体などの行政事務の効率化に貢献するITツールの開発・販売を行う企業です。
特に公会計や公共施設マネジメントの支援にフォーカスをあてたツールを提供しています。
同社が提供する公共施設マネジメント支援システムでは、施設情報の管理、財務情報との連携、修繕コスト予測シミュレーションなどの基本機能が実装されています。
また、登録されている施設情報をもとにして、アンケート調査や法定点検情報などと連携させることで、利用者と管理者という2つの視点から施設の評価を行う「施設評価ポートフォリオ」というユニークな機能もあります。
これは、施設ごとに今後の整備の方向性を以下のいずれかで簡易に評価を行う機能です。
- 維持継続
- 利用検討
- 更新検討
- 用途廃止
これによって、個別実施計画の方向性を検討する際に指針として参考にすることができます。
また、施設評価ポートフォリオの内容や自治体の経営戦略などと照らし合わせ、施設の再配置などのモデル事業を検討することができる機能も実装されています。
このように、具体的な施策を立案する際に参考となる機能が豊富な点に特徴があるといえるでしょう。
(2)株式会社パスコ
地図などの空間情報ツールを開発・販売する株式会社パスコは、「PasCAL for LGWAN公共施設マネジメント」というサービスを販売・提供しています。
全庁舎内でデータを共有できることはもちろん、同じパッケージサービスを導入している場合には、相互にデータ連携を行うことも可能です。
主な機能として、施設情報の一覧化、施設維持コストの試算・平準化シミュレーション、情報のグラフ化などが挙げられます。
また、GIS(地理情報システム)を標準実装しており、登録された公共施設の位置情報を把握できるだけでなく、人口データなどの情報とも重ね合わせて管理することも可能です。
これによって、施設の近接状況などを空間的に把握することができ、施設の配置の最適化などを検討する際にも活用することができます。
さらに、施設ごとにマネジメント計画の内容や進捗状況を管理することができ、全体の進捗状況を把握することもできます。
また、導入の際には、取り込むべきデータをあらかじめ準備することで、最短で3か月程度で構築・運用を始めることが可能です。
(3)一般財団法人建築保全センター
一般社団法人建築保全センターは、建築物の維持管理や修繕、マネジメントに関する研究や計画立案などを行うことを目的とする団体です。
また、地方公共団体に対しては、建築物の保全に関する情報管理と保全関連業務を支援する「保全マネジメントシステム(BIMMS)」を提供しています。
主に施設情報の一元管理や施設ごとのコスト情報などを閲覧できる機能が実装されています。
さらに、施設の用途や延床面積などの情報をもとに手軽に中長期保全計画を策定できる機能もあり、具体的な施策の立案作業の効率を高めることにもつながります。
施設ごとに機材や備品のデータを入力・管理することもできるため、設備情報も踏まえて詳細な保全計画を策定することも可能です。
また、全庁舎内で情報を共有できるクラウド型でのサービスであるため、導入から利用開始までもスムーズに進めることができるでしょう。
(4)株式会社ジオコミュニケーションシステムズ
株式会社ジオコミュニケーションシステムズは、建設や行政などの分野で情報システムの開発・販売などを行う企業です。
同社では、公共施設の工事管理やコスト情報を管理する「保全計画システム」と施設の立地や評価額などの資産情報を管理する「資産経営システム」の2つのシステムを提供しています。
保全計画システムでは、施設ごとに光熱費などのコスト情報を閲覧できるほか、修繕などの工事の実施状況や工事単価・周期なども管理することが可能です。
また、施設の維持管理の試算シミュレーション機能も実装されているため、保全計画の策定に必要なデータを余すことなく管理・入手することができます。
資産経営システムでは、施設や建物の位置情報を含む様々な情報の登録・管理を行うことができます。
地域の特性や実情を反映した条件などによって公共施設の評価なども行うことができるため、施設の統廃合などの適正配置に関する政策決定の際に参考とすることが可能です。
まとめ
本記事では、システムを導入して公共施設マネジメントを推進するメリットや公共施設マネジメントシステムに実装されている主な機能などについて解説しました。
実効性のある公共施設マネジメントを推進するためには、客観的なデータの把握と分析を行うことが欠かせません。
施設ごとに異なる部署や課で情報を管理していることも多く、情報共有や迅速な計画の推進のためにも、庁舎内で一元的に情報を共有・管理する体制を構築することが重要です。
専用のツールやシステムを導入し、施設情報や施設運営に関する財務情報を一元管理することで、公共施設マネジメントに継続的に取り組んでいくことができます。
当社は、公会計・財務会計の専門性と、公共施設マネジメントおよび各種計画策定におけるアウトソーシングの受託実績を兼ね備え、地方自治体の皆さまをご支援しています。
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